どの旅にも物語がありますが、心に深く残る経験もあります。大子漆の森の見学と金継ぎ体験は、そのような旅のひとつでした—文化体験、実践的な工芸技術、そして日本の田舎の職人たちとの深い絆が融合した、特別な体験です。

2024年12月の7日間、参加者たちは漆の世界に足を踏み入れ、金継ぎの集中的なワークショップに参加し、京都や東京の喧騒を離れた小さな町で静かな美しさを堪能しました。しかし、この体験ーが本当に特別だったのは、習得した技術だけではありませんでした。真の職人たちへの貴重なアクセス、漆の森への特別訪問、そしてこの危機に瀕した工芸を守るために尽力している人々の第一手の物語を共有したことが、何よりも印象的でした。
大子町林業部門の支援を受けたこのプログラムは、単なる文化体験にとどまらず、日本の工芸遺産を守り、地域コミュニティを支援し、参加者に一生に一度の真の工芸体験を提供する運動でもあります。今年も、皆さんと一緒にしていきます!
金継ぎの源へ—漆の森への訪問
茨城県大子町は東京から車で3時間の距離にあります。16世紀、徳川光圀公は大子町に漆の木を植えることを推進し、全盛期には150人以上の漆職人が活躍していました。しかし、戦後の漆需要の急速な減少と高齢化により、現在では大子町には10人未満の職人が漆の森林を維持しており、毎年約270kgの日本最上級の生漆が収穫されています。
私たちのグループは、大子町の漆森林を特別に訪れることができました。この森は、林業課と大子漆保存会によって管理されており、特に注目すべきは、名高い漆職人・故・飛田祐三氏によって植えられたものであることです。私たちの訪問は単なる風景写真の撮影にとどまらず、この工芸を維持するために必要な膨大な献身を理解する機会でした。
漆の森で私たちは、漆掻きに従事する若い二人の徒弟、柳詩郎さんと渡邉優馬さんと出会いました。彼らは、自らがこの厳しい道を選んだ理由、直面した課題、そして工芸の未来への希望について語ってくれました。
最も衝撃的だったのは、日本の伝統的な徒弟制度の現実でした。観光向けの短期間プログラムとは異なり、彼らは何年、場合によっては数十年もの時間をかけて技を磨いているのです。この献身の姿勢は多くの参加者にとって大きな学びとなり、何が本当の意味での「弟子入り」なのかを再認識させられました。

漆の森での体験は、漆が単なる工芸素材ではなく、文化的・生態的な重要性を持つ素材であることを私たちに実感させました。この認識が、金継ぎをただの哲学的な「侘び寂び」にとどめず、責任を伴う工芸として再定義するきっかけとなりました。
金継ぎワークショップ—その奥深さ
2024年のプログラム参加者は、初心者から熟練者、文化に興味のある旅行者まで、多様な背景を持つ方々でしたが、皆共通して、表面的な金継ぎの技術を超えて学びたいという好奇心を持っていました。金継ぎのワークショップは数多くありますが、その内容には大きな差があります。私たちは、一般的なカリキュラムに従って「金継ぎのレシピ」を配布するのではなく、伝統的な材料、道具、技法を理解することに重点を置きました。
また、ワークショップだけではなく、大子町の小さな魅力も満喫しました。家族経営の食堂での食事、地元のビジネスや漆工房の訪問、近くの歴史的な陶器の町での一日など、外国人観光客が滅多に訪れない場所での温かいおもてなしを受けました。多くの参加者にとって、これは工芸そのものと同じくらい印象的でした。京都や東京とは異なる、日本の真の姿を体験できたからです。
次回: 2025年の漆と金継ぎの旅へ
7日間で展開されたことは、単なるワークショップにとどまらず、深い文化交流でした。参加者の多くは、最初は日本の職人たちが控えめで距離を置いていると考えていましたが、彼らは心から開かれた姿勢を見せてくれました。率直な会話と共有された経験を通じて、職人たちは自分たちの世界に私たちを迎え入れ、彼らの苦労、喜び、そして技への揺るぎない献身を見せてくれました。参加者たちは、ソーシャルメディアを通じて職人たちと今でもつながりを持ち続けています。
多くの参加者は、もっと長く滞在し、静かな日本の田舎のリズムを感じ続けたかったと言います。そのため、私たちはこのプログラムを毎年継続していくことを約束し、日本の漆の源である金継ぎの物語を伝えていきます。この体験は、単に金継ぎを学ぶことだけではありません—それは漆の木が育てられ、漆の森林の職人たちが技を磨き続ける、その源で金継ぎを理解することなのです。

Comments